マツリカの炯-kEi- 天命胤異伝 感想
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▼ゼブネラルート
ゼブネラは言葉は少ないものの、とても愛情深いキャラというのが伝わってきて良かった。
白狼族はもとは狼だったものが人間になった、というのも比喩表現ではなく、本当にそういうファンタジーの世界観。
しょっぱなは戸惑った(笑)
だが、次第に慣れた。
中国神話には詳しくないが、そういう世界観だと思って貰えればいいと思う。
最初にゼブネラルートをプレイしたので物語の全容が分からずもどかしいが、ナーヤとゼブネラの初心ながらも官能的なシナリオが楽しめた。
白君(ぱいくん)がなぜ山を捨てたのか、よくわからなかった。
結構長いシナリオなので頭に入っていない部分もあると思うので、時間がある時に周回したいと思う。
ともかく白君の加護が受けられず、白狼族の役目が終わったため子どもは作れないと知った二人が、子どもを作るためではなくお互いを求めるシーンは感動的。
そしてナーヤの母・チイカが白狼族の郡王(ぐんおう)と惹かれ合い子どもができたというのは、全てのルートをプレイした後だと運命的な物だったのだと理解でき、さらに物語の深みが増して素敵だなと思った。
【春前終節】
白狼族の役目が終わったため、子供ができないと知ったがゼブネラと夫婦でいたいと願うナーヤ。
雪山を捨てることなく、白狼族として生き抜くと決め、仲間とともにこれまでどおり生活していくことにする。
個人的に不安しかないエンド。
確実に自分たちから滅びにいってるやん!!
私は寒いのが大の苦手なので白狼族には絶対なれないだろうな。
【明前終節】
雪山で生活していくことを諦める白狼族。
人があまりいない砂漠にたどり着いた一行は、ここを新天地に決めた。
数年後、白狼族は雪山に住んでいた時と同様に孤児を拾って育てながら人を増やし、いつしか小さな国と呼べるほどの規模にまで成長していた。
ある日、ナーヤは商人として訪れたルヲと再開する。
砂漠で生き抜くために周辺の情報を仕入れたいゼブネラは、商品を仕入れる優先権と引き換えに毅然とした態度でルヲに交渉する。
その横でナーヤは昔話をする。ナーヤは子どもは作れなかったが、今の生活を楽しんでいたのだった。
このエンドのルヲは商人をしながらずっと船の設計図を探しているんだろうか。
誰かの幸せは誰かの不幸せでできているのかもしれない。
【雨前終節】
ナーヤは妖怪に殺されてしまうが死体が出てこないため、ゼブネラはそれを認めたくない。
白君の加護を受けられない雪山での厳しい生活を捨て仲間達が下山するなか、ゼブネラは一人で雪山に残ることにした。
たった一人でつがいを探し求めるゼブネラを哀れに思った仙虹が、ゼブネラを狼の姿に変えた。
狼になったゼブネラはずっとナーヤを探している。そんなエンド。
タイトルに戻った時のゼブネラの悲痛なセリフが悲しい。
狼のつがいはパートナーが死んだ後も他の狼とはつがいを作らず過ごすことが多いという。
ゼブネラもそんな狼のような生き方を選んだという事か…。
切ないが、ゼブネラらしいエンドだと思う。
このエンドの後日談を読みたい。
確実にゼブネラは死亡してあの世でナーヤと再開する的な展開になるだろうが。
▼胡青凛ルート
唯一の男子である青凛が何故疎まれているのか。
全く先の展開が読めなかったのでが明らかになった時はとても面白かった。
いけにえとして男子を捧げなければいけないのに、青凛は生き残ってしまった。
だから皇帝は青凛を疎ましく思っていた。
青凛の兄もいけにえの犠牲になっていたのだ。
※偽兄の正体はここでは分からずだったけど、ルヲルートで明らかになる。
そして皇帝はいけにえを捧げ続けなければ死んでしまうという保身から、多くの妃に男子を産めと強要していたのだ。
皇帝の寝室でナーヤに邪気を払う歌を歌わせながら、妃たちとセックスする描写はショッキング。
乙女ゲームでこの展開はかなり攻めていると思う。
殺すために産ませるというのはかなり残酷でグロテスクな展開だった。
また、青凛は胡雲ヨウが騙して殺した応龍の生まれ変わり(?)で、龍に変化できるというのもぶっ飛びファンタジー展開だった。
個人的に立花さんは青凛みたいなおっとり系より、口が悪い美形キャラのが輝くと思うんだ。
思うんだ…!!
【春前終節】
燕來は一騎打ちで青凛に破れ、月下ノ国(げっかのくに)を追放されてしまう。
この二人の師弟愛(友情?)には癒されていたので悲しいエンドだった。
でも燕來ルートの明前終節を見終わった後に、燕來だったら逞しく生きていくんだろうなと思えた。
このエンドの後日談が見たい。
【明前終節】
偽兄と玖家の争いが勃発。都の治安もめちゃワルワルになる。
四聖獣たちはマジ人間愚かすぐるwやっとられんわ状態。
しばらくは民が生きていけるように霊力を残したけど、それも十数年でなくなるとのこと。
霊力が亡くなれば四凶(妖怪的な)が復活してさらに世の中がワルワルになるっぽい。
争いは玖家が勝利して燕來が新王になることに。
地上には居場所もないので、ナーヤと青凛はこれからは仙境で暮らすことになる。
鳳仙紫(フォンツェンシー:食べると寿命が亡くなって仙境で暮らせるようになる)の実をナーヤが食べる。
食べるごとに俗世への未練もなくなって行くらしく、ナーヤは青凛に明日は何をしようと問いかける。
もうぜーんぶどうでもいい!!エンド。
問題は解決してないけど、二人が幸せだからOKです!って感じでこれはこれでちょっと好き。
人間、マジで愚かしい。
【雨前終節】
偽兄と玖家の争いを止めるために青凛が犠牲になってしまうルート。
過去に青凛が龍の急所を燕來に教えたことで、それが致命傷になってしまう。
未亡人ナーヤ爆誕の瞬間だった。
個人的にはこのエンドの後日談を読みたい!
青凛は人間ではないので、恐らく何らかの形で復活しそうな気がする。
▼ルヲルート
オトメイトに一人はいる、つらい過去を背負ったチャラ男枠、それがルヲ。
海賊に家族を殺され、自身も海賊として生きていた期間があることを後ろめたく思っている。
ルヲの飄々としたキャラクターはとても好きなのだが、そういう男がもがき苦しんでいるを見るとトキメキますね~(変態)。
海賊の親玉である季苑(きえん)が青凛の偽兄なのだが、一片の曇りもない悪役でいっそ清々しい。
設計図を手に入れるためとはいえ、ルヲがナーヤを売り飛ばそうとしたことは許せない。
一生悔い改めて欲しい(怒)
【春前終節】
皇帝から貿易商隊・舵風(だふう)として認められ、風一族を復興することになったエンド。
結婚式を抜け出して海辺でセックスするのはやめてくれ。
気持ちが高ぶったのは流れ的に理解はできるが。
生暖かい目で二人の情事をながめる私の身にもなってくれ。
なんだかんだで新しい鳰船(におせん)ができたので良かったなと思う。
ナーヤもこの船で新しい世界をたくさん見ていくんだと思うとワクワクするエンドだった。
【明前終節】
季苑を殺してルヲが海賊の親玉になるエンド。
人を殺したくないと思っていたのに、彼は一線を超えるとどこまでも冷酷になれる男なのだと思う。
海賊連隊・舵風(だふう)として殺戮を繰り返しているらしい。怖すぎるだろ。
なんかいっぱい宝石とか宝に囲まれた二人が物すごく空虚に見える。
みんな殺して奪い取ったのかな~と思うと恐ろしいね!
ダークで救いようがないエンドだなと思った。
【雨前終節】
鳰船の設計図を燃やされて全てに絶望するルヲ。
そしてルヲの目の前で季苑がナーヤをレイプ。
乙女ゲームとしてはゴリゴリに攻めまくった展開で笑いしか出なかった。
オトメイト始まったな~(笑)
そしてそんな二人を歯を食いしばって見つめることしかできない攻略対象。これなんてエロゲ?
そしてナーヤは桃夜楼(とうやろう:娼館)に売り飛ばされて…。
本当にコンシューマー乙女ゲームとは思えない展開に。
そして何より驚いたのは、そんな状況のナーヤを置いて、ルヲが逃げたこと。
ナーヤは自分から全てを奪ったルヲに復讐を誓うのだった。
何もかもがダークなのだが、私はこの後日談を激しく読みたい。
憎しみ合う男女のドロドロ展開が読みたいよ!!
多分ルヲを殺した後に生きる意味を見いだせなくなったナーヤは自殺しちゃうんだろうな…。
何もかも救われない後日談が読みたい!!
▼玖燕來ルート
彼のルートは色々覚えることが多くて割を食っているようにも思える。
が、かなり早い段階で燕來がナーヤに惚れだしたので燕來チョロ過ぎ!と思ったことしか覚えていない。
あと非常に大食い。
終盤の怒涛のセックス祭りは、いくら避妊しててもできちゃうんじゃないかな~?と心配になるレベル。
しかも避妊といっても草(←避妊効果のある薬草)だし。
そんなもんで精子(物理)を止められるわけなかろうが!!
一族の悲願や放蕩者の兄に振り回される苦労人属性の燕來だが、ナーヤと仲良くなっていってどんどん口調が優しくなるの、本当にチョロ過ぎる。
【春前終節】
カルマから引き継いだ“爪”の炯眼を宿した燕來は“聲(こえ)”と“瞳”の炯眼を持つナーヤと蛍聲(けいせい)を復活させる。
嬅(か)家の人間として燕來が雪月花(せきげっか)王国を復興した。燕來は嬅家の末裔として国王になり、ナーヤも王妃になる。
一族の悲願を成就させてハッピーエンド。
めちゃくちゃ王道展開過ぎて何もいうことがない。
燕來は青凛に従者として使えることに喜びを見出していたのかな?と漠然と思っていたのだが、そうではなかったんだね。
平和な世を作れれば誰が天下を取ってもよい(もちろん自分が取っても)という考えだったんだな、燕來は。
このエンドはここで終わりなんだけど、二人にとってはここが始まりだと思うので、後日談が気になる。
【明前終節】
燕來が玖家を捨て、ナーヤと市井の民として生きていくエンド。
王位には青凛が就き、燕來は私塾の先生として子供達に勉強を教えている。
その私塾に幸福の象徴である燕が巣を作った。ほほ笑みながらそれを見つめる燕來とナーヤのスチルが可愛らしい。
個人的には二人はこういうほのぼのとしたエンドを迎えて欲しかったので、春前終節よりこっちのが好み。
【雨前終節】
蛍聲を復活させる際に目隠しをした燕來とナーヤで舞を躍るのだが、それが上手くいかない。
業を煮やした燕來はナーヤの両目を抉り、一人で踊る。私はひとりでいい、と。
雪月花王国を復興させ王位に就いたが、政(まつりごと)はすべて側近達が行うので燕來はなにも決めなくて良い。
雪月花王国は女王が治めていたことから、女装して女王として君臨することになる(←なんでやねん)。
両目を抉られ盲目になったナーヤと玉座で戯れる燕來の退廃的なバットエンド。
女装する意味がわからん!!
しかもみんな中身は男なこと分かってるだろうし、茶番過ぎる。
燕來の見た目がやけに中性的なのはこのエンドのためだったのか?
▼フェイルート
これはマジで予想できない展開だった。
ナーヤは孔雀という雪月花王国の最後の女王の生まれ変わり(?)であり、フェイは孔雀女王を支えていた仙虹(せんこう)・フエンの思念が生み出した赤ん坊の子孫だった。
ナーヤの中には孔雀の思念が蘇っていて、フエンの中にはフェイがいる。
実はフェイの一族は結界を張るために自分の命を減らしていて、みんな短命で死んでしまう。
でもフェイ一族の当主が死ぬ度にフエンが実体化(力が戻っていく?)していって、最終的にフェイが死んだことで、完全にフエンが復活する。
ファンタジー展開ここに極まりなのだが、非常に神話らしい展開な気もする。
感情を持ってはいけない仙虹のはずなのに、いつしか孔雀女王を愛していたというフエンも健気。
九九九年という気の遠くなるような時間のなかで、繋がれていく一族たち!ロマンチック!
なのだが、設定が本格的過ぎてここら辺はちょっと理解が足りていない(←馬鹿)
壮大な世界観でここまでプレイするとかなりお腹いっぱいになってきた。
発売前にあまり物語について触れられていなかったのは、ストーリーが難解すぎるからだったのかもしれない。
とにかくエロです!って感じの宣伝だったもんなぁ……。
二人とも別人格を持っているなんてかなり特殊なシナリオで、私も感想を書くのにかなり戸惑っている。
【春前終節】
ナーヤの中の孔雀が消えてしまったエンド。
フェイ≒フエンではあるが、ナーヤはフエンの中にあるフェイを愛しているということか?
※なにを言っているか分からなくなってきた。
もう何もわからない。
【明前終節】
孔雀に精神を乗っ取られるエンド。
フエンの気で作った仙丹(飲むと死ななくなる)を孔雀(ナーヤ)に飲ませるシーンが性的でかなり興奮した。
仙丹を飲むシーンの(ああ……。フエンが、入ってくる……)とか狙い過ぎてて本当にゲスだぜ。
孔雀にはボイスがあるので余計に性的。けしからん!!
これはフエン様の勝利エンドということでよろしいか?
ヤンデレといえるのかは分からないが、人間には理解できないレベルの執着心だとは思う。
【雨前終節】
恐らく今作で唯一子どもが生まれたところまで描かれたエンド。
フエン(まだ実体がない)が死にかけのフェイの魂を持っていこうとするのだが、ナーヤはお腹に子どもがいるからやめて欲しいという。
たった一度のセックスで命中させるとは! フェイ、恐ろしい男だぜ。
それならば十月十日待って、そのあとにフェイの魂を連れて行く、そしてナーヤはフエンのものになると誓わされる。
無事出産を見届けてフェイは……。というエンド。
これ、子どもはマツリカ村に残してフエンはナーヤを連れて行ってしまうのかな?
フエンの孔雀に対する執着が凄まじい。
フエンは人間を超越した存在なのでなんでもできてしまうのが恐ろしいよ。
▼カルマルート(隠しキャラ)
“爪”の炯眼を持った青年・カルマは殺戮マシーンだ。
でもそれは彼の意思とは関係なく、呪われた力のせいなのだ。
村から追われ行く場のないナーヤとの切ない恋愛模様。
二人には幸せになってほしいと思っていたのだが、展開としては切ないラストしかなかった。
人間って醜いなって思う(感想が陳腐)。
とことん人間が嫌になる展開というか、いっそ人外にでもなった方が楽しいなって思える。
人間って愚かだね。
【春前終節】
玖家が蛍聲を操っているのを解放する為に、二人は霊気の糸(多分二人の命を削っている)を使う。
蛍聲は解放できたが、そのせいで二人はあまり人間の姿を保てなくなっていた。
なので一日の大半を獣の姿になって森で生活している。
実質ケモナー天国。
この動物になった二人がめちゃくちゃ可愛いのだ。
小型犬みたいにじゃれあう二人が可愛い。
やはり人間は愚か、ケモノこそ真実。
【明前終節】
カルマは人間の姿に戻れず、ナーヤも炯眼持ちという事で人間たちから追われる生活を続ける。
あばら家を見つけ、そこに住むようになり、ささやかながら生活を続ける二人。
なんだかこの二人、この後見つかって殺されてしまうんじゃないだろうか。
本当に人間が嫌いになる。
【雨前終節】
狂ったカルマに殺害されるエンド。
多分これも愛。
死んだナーヤの骸骨を抱いて眠るカルマが悲しい。
▼その他
良い点
・重厚なシナリオで読みごたえがある。
・すぐに個別ルートに入る。共通ルートが短い。
・キャラによってシナリオが異なり、飽きない。
・イラストが綺麗で、特にキャラクターの衣装が素敵だった。
・エンド後のタイトルコールで攻略対象がセリフをいうのが芸が細かい。
・音楽も中国風で世界観にまとまりがある。
・次の選択肢(もしくは未読まで)まで飛ばす機能が早くて周回が楽
・テキスト欄でキャラ名が下にあるのは見づらい。上がいい。
イマイチな点
・背景イラストが適当に見える場面がある。
・さっくり進めてもいいところで、キャラを動かしたりSEを当てたり画面を動かしたりしてテンポが悪い。
総評
期待して購入したので総合的にはかなり大満足。
壮大なシナリオがあり、徐々に真相に近づいていく過程がじっくりと描かれていてとても面白かった。
でもやっぱりオトメイトの演出が好きになれない!
これは昔から思っているのだが、オトメイトシステム?なるものを一度見直してほしい。
画面がごちゃごちゃしてて目が疲れる。
何度も言うが演出をどうにかして欲しい。
テンポの悪さをどうにかして欲しい。
間延び間半端ない。
近年の乙女ゲームはシナリオもイラストも音楽も進化しているのに、オトメイトの演出はずっと変わらない。
「ヤー!」(カチンカチン!)←キャラがゆらゆらする。
●●が●●した。(ヒュン!)←キャラが高速で動く。
↑こういう演出が間の悪さを生み出していると気が付いて欲しい。
演出がどうにかできないなら、せめてUIの見やすさに気を配ってほしい。
シナリオゲーは読みやすさ、進めやすさを一番に考えて作ってほしい。
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