十三支演義 感想

🌼感想は攻略順です。

曹操ルート

やってくれました、曹操様
完敗です。孕ませ監禁エンドを一般乙女ゲーで見られるなんて(色んな意味で)胸熱。
胸熱ついでに胸焼けも起こしそうだったが、私をひとりにしないでくれ!といった曹操様に激しく笑ったので良しとしよう。

人間かと思いきや、曹操も猫族だった。
猫耳は自分で切り落としたらしい。耳なし芳一みたいだ。
あの絶対に耳が見えない髪型は人間の耳があるべきところにないから、わざと髪で隠してたんだと納得した。
しかも関羽と同じ世にも珍しい人間との混血だった。
でも関羽の母と公孫瓚のように愛し合って出来た子供と言う訳でもなく、曹操の母は憎い男の子供(曹操)を身籠り発狂。
曹操と母は幽閉状態で生活する事を余儀無くされるが、母は曹操を愛する事なく若くして亡くなってしまう。
曹崇(曹操パパ)は猫族に対して理解を示している風でもなかったのでなんとも言えないが、戯れに手篭めにしただけだったのだろう。
なんとも胸クソの悪い話である。

曹崇は一応曹操を曹家の子供として認めてはいるが、当の曹操は父親に対して憎しみを抱いている様子。
なにかと口出しするウザい父親に引退してくれと言うが、結局口論の末に曹操は曹崇を殺害。
この曹崇は最期、お前は誰にも愛されない、ひとりぼっちだ的な事を吐き捨てて息を引き取る。
曹操もこれには精神的ダメージがデカく塞ぎ込む。
やっぱり私は冷酷な道を突き進むしかねぇ!情なんてかけるのはらしくねぇぜ!と三段笑いをかますTHE☆悪党の曹操様。
その後に関羽と敵対するイベントでもあなたは一人きりの王になるんだわ!とこれまた心を抉る一言を言われてしまう。
呂布にすらあなたは独りで孤独に死ぬと言われてしまう。
世界はなぜ曹操を追い詰めるのか

普段尊大な態度を取っていても、精神攻撃には滅法弱い曹操。
なにを手に入れれば満足するのか、自分が満たされるのか分からない。
でも手に入れてみなければ満足するのかそうでないのか分からないではないかと言い、関羽に徐州攻めを止める事を条件にこちらへ来いと脅迫誘ったりまるで子供!!
最初は関羽の武を利用する為に劉備を盾に脅していたが、次第にそれが好きと言う感情に変わり、関羽が混血だと知ったところで一気に感情がスパークしてしまったのが面白い。

普通は猫族と人間の間に子供はできないはずなのに奇跡的に2人は出会い、しかも異性同士。
これはどういう事か分かるか?俺たちは結ばれる運命だったのだ!生まれながらの私の花嫁だ!と興奮気味でまくしたてる。

なんてこった。曹操様がとうとうお壊れになったぞ!
関羽の足から血が流れるのを見て、尊い血が流れてる〜!!血が!血が!と半狂乱になる曹操様は間違いなくただ狂人。

関羽は関羽で、この人は「混血である私」が好きなの?「私自身」は見てくれないの?とキチンと受け手の疑問に思う部分に触れているし、そこらへんの葛藤なんかも書かれていてよかった。
呂布にあの子は混血よと告げられ、関羽に問いただしてからの曹操の接し方の違いにニヤケがとまらない。
戦には出さない、屋敷にいればいい!と武器を取り上げ、ほぼ軟禁状態。
曹操にしたら関羽はこの世で唯一の同胞。それだけでもう好感度が爆上げ状態。
ずっと孤独を感じていた曹操にしたら、自分と同じ混血の関羽に親近感以上の感情を抱いても致し方ないのかも知れない。

しかし曹操が関羽大好きなのは十分理解できたが、結局なんで関羽は曹操を好きになったのかは分からない。
曹操の言動にトキメキ要素が少ないからだろうか。

ひたすら命令されたり戦えと言われたりして、マジで鈍感ヒロイン関羽ちゃんじゃなくても惚れる要素はないと言っていい。
情に絆された感はあるが。

なんでそんなに悲しそうな目をするの?とか放っておけないわ、というのは好きというよりもよはや母の愛にも似たそれに感じる。
それは愛じゃねぇ、人はそれをオカンと呼ぶんだ!

まぁ関羽って母性強そうだし、曹操も確実にそれを求めてたんだろう。
後、曹操は自分を人間でも猫族でもない、いわばどちらにも帰属できない孤立した存在だと思っていたのに仲間が見つかって単純に嬉しいと言う気持ちもあるんだろう。
関羽が男だったらどうなってたのか気になるが、それでも多分曹操の帰属意識は十分に満たされはするのでそれはそれでOKなんだろうけど、それだと人間でも猫族でもない第3の人類(種族?)を増やしていく事は出来ない。
多分こういう血統萌えタイプは自分たちの種を残したいと強く思うのがセオリー。
関羽は母の愛、帰属意識、生存本能(種の保存)を一気に満たせるミラクルガールだったんや〜まるで宝石箱や〜。
夏侯淳がお前のせいで曹操が腑抜けになったと言うところまでは予定調和だが、あのツンだった曹操がここまでデレるとは思わなんだ。
もう笑うしかない。

グッドエンドでは血なんて関係ない、関羽は関羽だと綺麗にシナリオは収まるが、バッドでは関羽を監禁してヤンデレ全開。
愛しいものを自分だけのものにする喜びに、父親の気持ちが分かるとまで言った曹操の心の歪みに閉口。
分かるんか!うはははは!もうどうなってるんだこのシナリオ!!

バッドエンドは関羽に取ったら悪夢以外のなにものでもないが、あの振り切れた曹操にしたらグッドエンドとも言えなくもない。

劉備ルート

こんなことになろうとは露程も考えていなかった。
あのロリショタがあんな邪悪なヤンデレになるなんて誰が想像できるんだ。
このままショタキャラで終わるはずもなく、なにかしてくれんだろうとは思っていたが、私の予想を大きく外し、とんでもない方向へと玉はかっとんで行った。
予測不能の打球を打ってくる十三支演義に驚愕した。

序盤はひたすらショタ要員でこれのどこに惚れろというんだオトメイトよ、と軽く目眩を覚えたが、それだけで終わるはずはないだろうと進めていると、関羽を他の男に取られたくない!自分も大人になりたい!と強く願うことで押さえつけられていた本来の劉備がご登場。

その前から関羽が目の前で呂布に斬りつけられて自我が崩壊し、暗黒面の方の劉備がこんにちは♪したこともあったので察しはついていたけど、いざそう来られるとやっぱりときめくおののく私の心。

劉備のご先祖様の劉光が金眼という妖怪を倒した際に、その血を浴びて半妖怪になってしまう呪いを受けた。
そのせいで時として凶暴化して暴れたり闘争本能の塊と化してしまう存在になり、山奥でひっそりと暮らして行くことを決めた猫族。
特に劉備は劉光の子孫なのでその呪いを強く受け、邪悪な心に支配されてしまう危険性を孕みつつ、故に強大な力を宿している。その邪悪な心が解放されて初めてその強い力も手に入れられるらしい。
が、劉備は邪悪な心を押し止める為に心と身体の成長が阻害され、「頭が少しうにゃうにゃ」(BY呂布)状態になっている…らしい。
前から思ってはいたけど、もう三国志関係ない。

そうこうあって劉備の中には「幼い劉備」「本来の劉備」「邪悪な劉備」の3つの人格が同時に存在すると分かった。これはヤンデレ来るか?と身構えていたら本当に来た。

関羽と劉備が離ればなれになっている間に邪悪な心を全開にしたお陰で、阻害されていた心と身体の成長が促進され、身体は子供、頭脳も子供!から脱却。
邪悪な心に目覚めた劉備は心も身体も成長し、すっかりご立派になってプレイヤーの前に現れた。
劉備は期待を裏切らなかった。
ここでビンビンに立ったヤンデレフラグを全力で回収していった。
劉備は袁紹軍を乗っ取り人間同士を殺しあわせて猫族の世界を作ろうと画策するマジキチ様になっていた。
暗黒面に落ちた劉備はこれから毎日ヒトを殺ろうぜ!と関羽を誘いますがここで流されてはいけないと拒否。

「君は僕の子を生む。未来永劫猫族の王国は栄えていくんだ!」

なんで十三支演義のヤンデレは関羽を孕ませようとしてくるのか。
猫って生存本能が強い種なんだろうか。オス猫なんてメス猫が嫌がってるのに追っかけまわすし。

そして大人ver劉備は銀髪ロンゲに猫耳というだけでもかなりパンチのある絵面だけど、それに加え肩だしの衣装。
肩だしはちょっと…と劉備の服装選びのセンスが心配になった。多分これまでは人に(多分関羽)に選んでもらったものを着ていたんだろうな…とどうでもいいことを考えてしまった。

曹操様も気狂いだったけど、劉備もまた違った意味で狂っていた。

人間が死ぬのを見たい☆と平気でのたまるし(これは本来の劉備ではなく、邪悪な方の劉備だけど)、静まれ我が右腕的なやり取りもあってなんとも厨二ちっくな展開に。終盤になってくるとこれはもう中華風ファンタジーって感じで三国志要素はファンタの果汁。

最終的には劉備と関羽はもとの平和な生活に戻れるは戻れるんだけど、猫族の根本的な解決になっていないような気がしてならない。

劉備が袁紹軍を利用して暴虐の限りを尽くしたことで猫族の評判がさらに大暴落。
しかも劉備の身体には金眼の呪いが残ったままなので、基本的には子供劉備が表に出ていてたまに大人劉備が出てくるという二毛作状態。
なんだか現状を打破できない猫族に同情してしまった。

恋愛要素についても3つの人格を持つという特殊な設定のせいで一体どの劉備に惚れていいのか分からず、関羽自身も劉備のどこに惹かれたのかも私には不明だった。
子供の頃に自分を受け入れてくれたというのは分かったが、それはそれ。
もっと男女のトキメキが欲しかったところです。終盤で一気に恋愛要素を詰め込んだって感じがしてならない。

これは曹操ルートでも感じたことだけれど、劉備が関羽を大好きなのはよーく分かるが、肝心要の関羽ちゃんは本当にこいつ好きなの?と思ってしまう部分が否めない。
劉備ルートなのにいつも猫族を気遣い付き従ってくれるイケメン趙雲になぜ関羽はなびかないのかと不思議で仕方ないルートだった。
あと劉備の「………。」という台詞が表示される度に既読スキップが解除されるのは何のためなんだ?バグか?

確実に見覚えがあるシナリオなのに既読スキップで飛ばせないのもしょっちゅうだが、これは仕様なんだろうか?

夏侯惇ルート

デレるまでが本当に長かった。
共通ルートはほぼツン状態。

マオゾクハーオンナハーと差別というか猫族は下等、女は嫌い、という固定概念がハンパないのでプレイしていて白目を剥きそうになる位の倦怠感を催した。
が、個別ルートに入ると関羽の心根や武人としての気性に共感してくれて和解。

実は「無理ゲーだろこれ…」と一回PSPの電源を切ってしまった位夏侯惇ルートの罵倒は堪えた。
まぁシナリオ的に仕方がないのですが、夏侯惇は徹底的に猫族を毛嫌いしているところから始まり、そこからデレてくれるまでの振り幅がデカいので自分頑張った!と褒めたい。
でも攻略対象にルートの大半を貴様!女!と呼ばれるのは辛いものがある。
関羽、と呼んでくれるまでが長い。

しかし十三と呼ぶのには飽きたから尾っぽ族と呼ぼうといい出したときには笑った。
尾っぽないからね、猫族。
目に毒矢が刺さり苦しんでいるときに看病してくれた女性を好きになる夏侯惇。
意識がもうろうとしているので相手が誰だか分からない。
まぁ女性というのはいわずもがな関羽なんですが、それがバレたときの反応がごんぎつね。
「お前だったのか…看病してくれたのは…」状態。
夏侯惇面白過ぎる。

関羽の腕に痣があったことから正体が判明した訳なのだが、このテキストが来るまで関羽の痣のことは一切受け手には知らされないので、唐突に感じるのが正直な感想
え、痣?ですか…と思ってしまった。

関羽があのときの女性だと分かるまでに、伏線的なものがあればよかったのだが残念
張飛ルートでも背中の傷が〜という件があったが、これも伏線なんてないので傷あったのかよ!?状態。

そしてなにより悲しかった展開は夏侯淵が仕向けた謀略。
夏侯惇は猫族は悪い種族ではないと分かり態度が軟化するのですが、夏侯淵とは最後まで分かりあえないままお亡くなりになりました。

こんなに罵倒される乙女ゲーも珍しいんではないかと思う。
ディアラバ(これは罵倒というよりプレイだったが)では散々ドSどもに鍛えられたと思っていたのだがそんなことはなかった。

もう貴様と女がゲシュタルト崩壊しそうなくらい、夏侯惇には呼ばれた気がする。
夏侯惇が猫族を嫌ってる理由はたしか違う種族同士が理解しあえるはずはないみたいな感じで語られたんですが、そんな理由でここまで罵倒されなくてはならんのかと思うと、本当になぜ君のルートをプレイしているんだろうね?私と自問自答したい気分だった。
最初から主人公をちやほやしろとはいわない(それは張飛だけで十分だ)。
だがこの仕打ちは苦行レベルだ。

しかしながらこの夏侯惇ルートは戦える主人公をフルに活用していたルートだったのでそれは良かった。
夏侯惇は関羽の武を認めてそこに惚れ込んだといっても過言ではない。
個人的に今までで面白かったのは趙雲ルートと曹操ルートなんですが、あれは2人とも関羽に戦うなといってくるから戦える主人公なのにもったいないなと感じていたところなので、関羽が強い女の子である意味が恋愛面で活かされたのが夏侯惇ルートの良さではないかと思う。

あと思ったことはこのルートの関羽が聖女すぎる。
夏侯惇が何をいっても何をしても「でも私は〜だったから嬉しかったわ」等々本当に慈悲深くていらっしゃった。
どちらかというと無個性良い子ちゃん主人公が好きな私でもこの良い子っぷりにはシャッポを脱ぎました。

張遼ルート

張遼は仙女である呂布様によって創造された土人形。
だから人の感情にも疎い。なんかロボットっぽいのも納得。

貂蝉ちゃんは元人間だけど、呂布との契約によって長い年月を生きてきた人らしい。
まさかのガチレズ様(呂布様とは契りを交わしたとかいってたし、これは…)に驚いた私だったが、この設定にも驚かされた。
虎の威を借る狐的存在だった貂蝉ちゃんが最期「私を捨てないで下さい!」状態になるのはちょっと可哀想に思えた。
このカップルはなんだかんだいってわがままいう貂蝉ちゃんに仕方ないですわねっていって付き合ってあげる呂布様が微笑ましかったのですが、このシーンでは対等な関係どころか明らかな主従関係が見てとれて、呂布の冷酷さにうはぁ…と閉口状態。

あなたはもういらないですわ〜的な台詞を吐き、貂蝉との契約を破棄した瞬間に一気に老いて骨になる貂蝉を想像すると結構グロイ。
関羽にも私と契約して恋人になってよ!そしたらもう暴れませんよ、と悪魔のささやきをしてきたところは本当にゲスだなと(良い意味で)思わせてくれた呂布。
マジで人間を人間と思ってない感じが出てる。

呂布様、関羽に飽きたらまた同じことしそう。なにしろ退屈なんだから。
呂布様は大抵のルートでラスボス的存在だったり、主人公たちに立ちはだかる悪役だったりして、袁紹と違って綺麗なまま終わることがないが、張遼ルートでは自分の創造主を倒すというところが呂布が他のルートで担ってる悪役像(主にヒャッハー!要員)とはひと味違い面白かった。

きゅんと出来るポイント(「私は最期人間になれたでしょうか」とか)もあって本当によかった。
非人間系の最後にこの台詞は様式美です。やっぱりこれをいって貰わなくては。
最後のタイミングシステムの使い方が秀逸。
二人で困難を乗り切ったという感触が得られてよかった。
BADだと呂布を倒して張遼も消えるという切ないエンドになっていたが、これはこれで物語として面白かった。

GOODだと関羽と契約し、関羽の寿命を半分にして張遼に与えハッピーエンド。
あなたの寿命を貰ってしまってすいませんとキチンと張遼らしさがでた台詞とそれに関羽もあなたがいれば幸せが2倍にも3倍にもなると答えるシーンがあり、後味の悪いものにはなっていなかった。

夏侯淵ルート

関羽の夢とも夏侯淵の夢ともつかないぼんやりとした夢のお話。
もっと明るい感じのパラレルワールドかと思いきやかなり切ない。
夏侯淵自体が印象最悪だっただけにこのルート見せられると嫌うに嫌えなくなってしまう。
3人で映ってるスチルはひたすら鬱になりそうなくらい爽やか。

袁紹ルート

計画通り(ドヤァという袁紹様が目に浮かぶ。
趙雲BADルートからの派生なので、しょっぱなから弓矢が突き刺さった趙雲のスチルを見せられてかなりブラックなシナリオ展開だった。
僕は僕なりに化け猫の君を愛そうとがんばってるんだよ…?的な台詞を吐く袁紹様はマジGESU2000%。
関羽もかなり精神的に参ってるのでそんな袁紹様に立ち向かう気力もなく籠の中の鳥になって生きて行くという、袁紹が病んでるのか、それとも関羽が病んでるのか(共依存状態)といったどろどろぐちゃぐちゃなラストシーンだった。
十三支演義はヤンデレ多いな。これじゃヤンデレ演義だよ。

馬超ルート

意外に馬超がアイツらは俺たちを利用しようとしてる!とか関羽にいうのでただのラテン系野郎ではないことが分かりよかった。
アイツらはわざと少数の部隊を激戦地に送り込んだり、華雄を打ち取れとかいって来ておかしい!とめちゃくちゃ正論をおっしゃってくれます。
そういやそうだわ、と曹操様がゲスに見えるから不思議です。
俺はお前を迎えに行く!と切ない感じで終わったのは余韻があって好き。
受け手にも想像の余地があってこれからの展開を考えると、私はどうしても大家族を仕切ってる肝っ玉母ちゃんみたいな関羽しか想像できないが。

楽天ブックス:十三支演義 偃月三国伝1・2 for Nintendo Switch