囚われのパルマ ハルト編 感想

とある島に連れてこられた主人公(以下、ヒロイン)が記憶を失ったキサラギハルトなる青年の相談員になって彼の記憶を取り戻すために奮闘するというあらすじ。
謎解き要素があるのが個人的には◎。

ヒロインにデフォルト名がない乙女ゲームが苦手で、それが理由で当時はやらなかったんだと思うんだけどこれはデフォルト名なくて正解。
ヒロイン=自分っていう設定がとてもすんなり入ってくる。

ハルト編とアオイ編があって、ハルト編を先に攻略。

甘さは控えめ、だと思う。
ガラス越しの面会なのでどうしても身体接触はできないし。切ない。
しかしながら埋没できる世界観は圧巻で、癒しを求めるならもってこいのゲームだと思った。

島に連れてこられたヒロインがハルトとサボット(スマホ)を使って交流

面会

ハルトと交流

面会


これを何度も繰り返していく。
全部で6章(数え方はエピソード1、2となる)あって面会すると次の章に行く(特別面会は除く)。
殺風景なハルトの部屋が自分が送ったもので占められていくのがすっごいぞくぞくする(変態)。

パンツ送れるのは最初は凄く抵抗があったのだが、ある時に豚さんのパンツを送ったらハルトは当然のようにそれを身に着けているわけで。
「なんて間抜けな姿なんだろう」と思ったら可愛くて仕方なくなった。
その後すぐに面会が入ってシリアスな話をしているのだが、「あ~コイツ今変な柄のパンツ履いてんだよな」って思ったらこれまたとっても興奮した。
楽しみ方はこれであっているのだろうか。

メールを送ってから返信してる姿が見られるのがすごくいい。
会話に関してはこちらが選べるのだが、なんともしょーもない内容のものでも律儀にメールを返しているのがいじらしくてこれまた可愛い。

ハルトは食べ物の好き嫌いが多い。
ハルトはたまご焼き、あんぱん、ポテトサラダ、明太子おにぎりが苦手なのだが、たまご焼きとあんぱんとポテトサラダに関しては克服させられるので試したのだが、嫌いなものをわざと送り付けて「これ苦手なんだよなぁ」等々々言いながらも完食する様子をねっとりとした視線で眺めつつ、どうだった?と鼻の穴をおっぴろげながら尊大にも感想を送りつけ、気を使って美味しかったとハルトが返信している姿さえも観察できてしまうのだ。このゲーム、マジでどうかしている。興奮しないわけがない。
何度も食べてたら好きになったっていうのも興奮度が高い。調教プレイと同義である。
明太子おにぎりに関しては克服させた人を見なかったので無理なのだろう。おいしいんだけどね。

ゲームしながらメモ取ってたから読み返してみると3章後半で「楽しいけど中だるみ感」と書いてあった。
ちょうど物語の真ん中くらいで作業ゲー感を感じたが、そこを抜けたらさらに面白くなってきた。
島のみんなとの交流とかもここらでちょっとダラダラしてきて。
しかし総合的にみるとちょうどいいレベルで島のみんなと交流がとれてよかったかなと思う。

個人的には廃棄場で拾ったバーのマスターへのラブレターが気になって仕方ない。
誰が書いた?

あと小説とか漫画とか差し入れできるの面白いんだけど、ヒロインがそれ(小説・漫画)読んでない設定の受け答え(展開が楽しみだね等々)しか用意されてなくてもやもやした。
そこは読んで合わせてあげろよ、仮にも相談員なんだし。とかここらへんで気になった部分でした。

4章~5章は物語における転の部分。
ここらでヒロインが海で拾ってきた天然石の中からハルトがアクセサリーを作ってくれるというロマンティックなイベントも発生する。
これはこれまで選んできた選択肢からハルトがヒロインをどう感じているかがその石でわかるというハルトからヒロインへの通知表とも言える。
雑木林や廃棄場に行って謎解きを真面目にしているとタイガーアイになるようで、私はタイガーアイだった。
つまり、どんなENDに向かっているかがここでわかるメタ的に重要なイベントなのだ。
END1に向かっているようだったのでそれを避けたくてこれ以降はほぼ雑木林や廃棄場に寄り付かないようにした。
後述するがEND1に行きたくなかったのだ。

そして"今度は指輪を送りたい"という話になって、非常に驚いた。
唐突にプロポーズ? どうしたんだハルト! と思ったらどうやら何の気なしに"指輪"と言ってしまったようだった。
こういう勘違いさせる言動を今までも女にしてきたのだろうか
「どの指を空けておくかは君に任せるよ」に関していえばちょっと結婚詐欺師っぽいフレーズじゃないか? 明確に結婚とは言ってないし、君に任せる、ってねぇ……。罪作りな男だな、ハルト!!
ガチに考察すると、こういう発言からヒロインが自分のことをどう思っているのかハルトなりに色々と不安で、少し自信がない感じとかが出てて好きなシーンだった。

自分といると巻き込まれてしまう、そしてそれからヒロインを守りきれる自信もない。
もどかしいハルトの気持ちを思うとこちらもちと切ない。

4章に入る前にネタバレを読んでみた。
危険を承知で廃棄場や雑木林に通っているとハルトが君をこれ以上巻き込めないと勝手に判断→ヒロインを拒絶→記憶を失ったハルトとまた巡り合うのだった……という韓国ドラマ風なEND1にたどり着くらしい。

これは自分的にはなしな展開である。
廃棄場や雑木林に近づかないようにしていたところ、私はEND3に軟着陸したのである。

END1を実際には見ていないのだけれど、ハルトがヒロインをあえて拒絶したのにまた巡り合っちゃうの!? という感じじゃないだろうか!?

4章か5章どっちかで2回目の呼び方を変えられるイベントが発生するのが個人的に嬉しかった。
2回もあるって結構珍しいと思う。
こちらの呼ばれ方は相変わらず苗字+さんなのだがw
ここら辺はあんまり気にしてなくて、親しくなっても呼び方が苗字+さんな人もいていい気がするので。

ここら辺の章は真相に近づいていくのでドキドキして面白いかった。
政木が出てくるのもここら辺。
政木に呼び出された時は2時間ドラマ感出てた。
「私、片平なぎさじゃね~?」とか思った。

6章。
政木のハルトに対する執着が異常で怖かった。
愛した女(ハルトママ)は自分(政木)とは比べようもないほど凡庸な男と結婚。
嫉妬から関係者名簿からハルトパパの名前をあえて消さず→ハルトママ+ハルトパパ両方とも死亡(おそらく消された)からの成長したハルトをシーハイブに引き入れるという執念深さが気色悪い。
執着系歳の差BLが始まるかと思った。政木、出る世界観間違ってるぞ。

ベアトリーチェの副作用に苦しむ人のために研究職に復帰って流れはハルトらしいなと思った。
そういうのを背負いこみそうな性格だと思っていたから。

黄金の蜂計画はベアトリーチェ(という薬)を使った洗脳計画だったことはわかったんだけど
全貌はわからず終い。

「忘覚(ぼうかく)の日は近い」
「アドニスの花に誓約を 愛しのベアトリーチェに捧ぐ」
厨二心をくすぐる言葉ですこと。

END3、ハルトはただ研究に利用されていただけの末端の人間とは言え、加担はしていたのでなにかしらお咎めがあるかと思っていたがなにもなかった。
確かにハルトは悪くないのではあるが。まあ、会社全体の不正事件なわけだし?

多分ヒロイン的にも一番幸せっぽいENDがこれなんだけど、ハルトがハイスペ過ぎてヒロインなんもできてない。
研究職に復帰しようと決めたのも、新薬の開発に成功したのも、みんなハルト自身の努力なのでヒロインはなんもしてないのである。まあよいが。
そしてヒロインはいきなり相談員に選ばれたり結婚してアメリカに行っちゃったりと目まぐるしい人生ですな~(笑)

疑問に関していえば
・ハルトがヒロインの心を読めなかったのには理由があるのか
・ヒロインはなぜいきなり相談員に選ばれたのか
等々。これはマジで考えても不毛っぽいので疑問を放棄する。

あ~面白かった。アオイ編行くの心残りなくらい楽しんだ。
残りのEND回収したいけど、後述しますが周回プレイが鬼めんどくさい。
多分このまま放置する。

その他、思ったこと。
選択肢に正解がないのが新鮮でよかった。
これは乙女ゲームをするうえで常に私が感じていたストレスを解放させた。
正解を言わなければと顔色をうかがう必要がなく、とても素直な気持ちでキャラクターと向き合うことができた。
乙女ゲームは俗にデジタル紙芝居だの読むだけゲーだの言われるが、シナリオを進めるのに"正しい"選択肢を選ばなくてはならない。
ハルトという人間は何を言っても悪く取らない性格なので答えに不正解がない。
それがシンプルに嬉しい。

ただそれが諸刃の剣になっていて、周回がめちゃくちゃめんどい。

恋愛シミュレーションゲームによくあるパラメーターはないのだが、実際には選んだ選択肢によってENDが左右されているため意識的に選択していく必要に迫られる。
そしてセーブ機能がないためENDを見たあと別のENDが見たければまた初めからシナリオを進めなくてはならない。
どっかでセーブさせてくれ。頼む。

機能等々に関しては、一日2コマしか行動できないからすぐに次の日になってしまうのと、1回に1つしか商品を買えないのが若干イライラした。

セーブ機能に関してはマジでアプリゲームからコンシューマーに移植する際に実装できなかったのだろうか?
むしろカプコンは周回という概念すらなかったのかも知れない。
マルチエンディングとは言え、本作はBADENDが存在しない。
過程はどうあれハルトというキャラクターと結ばれる未来しかないのだ。
選んだ選択肢によってたどり着いたENDがあなたとハルトのエンディングなのだからそれすら正解不正解はないのですよ、という制作側からのメッセージ?

あと面会の時にガラスに文字とか絵と描いたり、おでこで熱測ったりはときめきをもらえた。

ハルトについても書いておきたい。
しょっぱなから「うるさいな」とか言われてハイハイそういうキャラね、と思っていたら「そんなつもりじゃなかった」とすぐに謝りましたからね、彼は。
普通に優しいかよ。

ただ優しさと自己犠牲をはき違えているきらいがある。
本当にヒロインに巻き込んで申し訳ないと思っているのなら中途半端なところでヒロインを一抜けさせるのはやっぱりおかしい。
ここらへんでハイスペ王子様な仮面が外れて、そばにいて欲しいけど守れないかも、どうしよう、という人間臭い弱いハルトが見られたのは面白かった。

乙女ゲームでよくありがちなクーデレな感じかと思いきや、わりとデレるのも早くて助かった。
ず~っとツンツンされてるのは性に合わんので。
ナヨっとしたような見た目と話し方なのに一人称「俺」でときめくし、ナンプレ速攻で解いて地頭の良さを見せつけてくるのも乙女的にはポイントが高い。
ヒロインが色々記憶を取り戻すために手助けしてくれたことに対しては「返せるものがない」と非常に謙虚な姿勢。
あんたが思い出してくれないと本土に帰れないからよ! べ…別にあんたのためじゃないんだからね!! っとこっちがツンデレになっちまった。

看守の狩谷にワインを渡すとハルトの情報を提供してくれるのだが、その中で鳥やリスになつかれるっていうのがあり、「お前はディズニープリンセスかよ!?」とツッコミをいれた。
白雪姫みたいっすね。

20歳前後かな?と思ってプレイしていたら20年前の事故が~等々話題に出てきてまさかのハルトアラサー説浮上。
「ハァ……どうしようかな」って独り言がなんの予定もない休日を無為に家で過ごすアラサー感出ててたけど。
まさか本当にそうなのか? とてつもなく童顔なんだがアラサーなのか?

ヒロインは子供の頃にハルトに会っていた設定なのでハルトがアラサー確定するとヒロインもアラサー設定になる。
製薬会社の研究員ってことは大学も卒業している(はず)。
ここら辺はアメリカの大学なので飛び級とかもありそうです。ハルトは頭もよい設定だし。
ここら辺はおそらくプレイヤーの自由というか、ご想像におまかせしますってことなのだろう。
'`ィ(・∀・∩ はいはいはい!!! 個人的には26~27歳くらいがよいです!!

あと、ハルトの目が青いというのが非常に気になっていて何かの伏線かと思ったが何もなかった(はず)。
おそらく純日本人のはずの彼がなぜ目だけ青いのか非常に気になるところ。
君は大河内 咲也か?