目覚めたら知らない男が枕元にいた 感想

フリーゲームだけどパートボイスがついていて、挿入歌もあり。ボリューム満点な本作。全エンドきっちりプレイしても半日くらい遊べると思う。

攻略はこちら。

ストーリーの伏線回収がお見事。真エンド・END6を見た後に開放される「おまけ」を見て、全体像が分かると言う仕組みもミステリー感があって面白い。乙女ゲーム感覚でプレイできるが全体的にサイコホラー感が強く、本作は乙女ゲームではなく「ホラーゲーム」の扱いになっている。

以外、軽くネタバレ注意

ヒロインの美澄色羽自体が、かなり精神不安定な子だった。

色羽は会社員兼VTuber。周囲には内緒で空色羽乃と言う名前でVTuber活動をしている。

活動を通して、彼女に取っての空色羽乃は次第に大きな存在になっていく。もう1人の自分という立場を超え、空色羽乃は自分が守るべき存在だと思い込む様になっていく。

元カレから肉体的・精神的DV(後述するがほぼ犯罪)を受けたのがきっかけなのか、母(男運悪し。男に金を貢ぐタイプ)の存在が影響したのか、抑圧された人生を送る色羽に取って、天使をイメージして作った空色羽乃は清らかで美しい理想の存在になっていったのだと思う。

一方、神堂律はギフテッドで幼い頃から周りの人間よりはるかに勉強ができたが人の心を理解するのが苦手だった。

成績の良さで妬まれて周囲とは馴染めなかったため、学生時代は色羽同様に抑圧された環境にいた。音楽の才能があり、実は作曲活動で生活しているが、過去に勝手にゴーストライターにさせられた事がきっかけで働いていた会社を無計画に退職している。

そして、「おまけ」にて突然やってきた元カノに金をせびられたうえに「何考えてるかよくわからなかった」「夜がしつこかった」と吐き捨てられるシーンがある。律はうんざりしながら、いろんな子と付き合ったけど誰とも長続きしない、誰か自分だけを求めて依存してくれる女はいないものだろうかと考えている。

本編では、律は色羽を崇拝している様に見えるが、本心では「自分がいなければどうしようもない女」を求めており、色羽はそれに合致した女だった。

たまたま出会ってしまった2人だけれど、割れ鍋に綴じ蓋な関係は見ていて苦しくもあった。

律が色羽に対して「色羽は天使なので外では生きていけない」「(色羽を)保護している」というセリフの伏線回収もお見事で、その真意が分かった時、プレイヤーはすっかり騙された!と舌を巻くだろう。

元カレ・修や謎の男・司(修に無理矢理ホテルに連れ込まれそうになるところで助けてくれる男性。実はキーキャラ)と言ったサブキャラも登場回数こそ少ないものの、強烈なインパクトを残す事間違いなしのキャラたちな事は必至だ。

最後までハラハラさせられたし、ラスト後のキャラたちの生死も気になってしまう。